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コンデンスリッチファットなど豊胸手術の新しい術式や注入材のリスク

close up of a woman's chest in her sports bra.

豊胸術には、主にプロテーゼ挿入、脂肪注入、ヒアルロン酸注入があります。
当クリニックでは、使用する素材や機器、術式を厳選し、より安全に、より美しいバストを提供できるよう心がけています。
一方、ネット上に美容整形情報があふれる現在は、当クリニックでは採用していない素材や術式に関する質問や問い合わせなどもふえています。
豊胸術で多いのは、コンデンスリッチファット(CRF)脂肪注入、VASER(ベイザー)による脂肪吸引、エンドプロテーゼ・エンドプラスト注入、アクアフィリングやアクアリフト注入などです。
当クリニックがこれらの術式、素材を採用していないのは、安全性や仕上がり、さらにはメンテナンス的な問題で、メリットがないからです。

1.コンデンスリッチファット(CRP)脂肪注入に対する見解

コンデンスリッチファット(CRF)脂肪注入は、吸引した脂肪を遠心分離器にかけて、余分な水分やトリグリセライド(排泄オイル)を除去し、濃縮した脂肪を注入する方法です。
ネット上では「注入した脂肪の80%が定着する」と喧伝されており、現在は日本全国の美容整形クリニックの一部で用いられています。

1-1.遠心分離器にかけると脂肪細胞の生存能が低下する

コンデンスリッチファット法は、吸引した脂肪を遠心分離器にかけて、有効成分を抽出する方法の1つです。
しかし、最近の研究では、癒着した細胞は圧力に弱く、遠心分離法で処理した脂肪は、脂肪細胞の生存能(バイアビリティ)が低下することがわかっています。
それによって定着率(生着率)が落ちるのではないかともいわれてます。
現在、アメリカやヨーロッパでは、コンデンスリッチファットをはじめ、遠心分離器で注入する脂肪を濃縮する方法はほとんど行われていません。
世界の主流は、遠心分離器にかけずに、フィルターで濃縮した脂肪を注入する方法です。
コンデンスリッチファットを用いているのは、日本国内の一部の美容外科クリニックだけともいわれています。

1-2.注入した脂肪が80%も定着するなどあり得ない

コンデンスリッチファット法で処理した脂肪は、注入後、80%が定着するといわれています。
しかし、バストに注入した脂肪が、毎回80%も定着することは現実的にあり得えません。
「定着率80%」は、ほかの脂肪注入法と差別化するための、過大な広告ともいわれています。
ちなみに、当クリニックで脂肪注入豊胸術に用いているのは、吸引した脂肪から良質な脂肪細胞をより分け、脂肪幹細胞や白血球、血小板成長因子をいっしょに注入するマルチプルインジェクション法です。
脂肪細胞を破壊しないようにていねいに吸引し、手作業でフィルターにかけて、余分な水分、トリグリセライド、老廃物などを除去して、注入脂肪を作成します。
その際、定着率を高める血小板や血小板成長因子を残すことにより、さらには注入した脂肪が壊死しにくいように少量ずつ、細かくていねいに注入することによって、脂肪の定着率を高めています。
こうして、できる限りの技術を用いた結果、最終的には注入した脂肪の約50〜60%が定着し、定着した脂肪は半永久的に残ります。

2.VASER(ベイザー)脂肪吸引法に対する見解

VASER(ベイザー)は、強力な超音波機能を備えた脂肪吸引装置です。
脂肪を吸引する前に、先端から強力な超音波を発する棒を、皮下の脂肪層に挿入します。
そうして、超音波の熱エネルギーで脂肪をドロドロに溶解させたのち、カニューラを挿入して、脂肪を吸引します。
VASER(ベイザー)などの強力な超音波装置で脂肪を溶解すると、脂肪細胞がダメージを受け、生存能(バイアビリティ)が低下することが最近の研究でわかってきました。
つまり、VASER(ベイザー)などの強力な超音波装置を用いて吸引した脂肪を、バストや顔などに注入した場合、生存能の低下した脂肪細胞を注入することになるため、定着率が低下する可能性が高いのです。
このため、当クリニックでは、バストや顔などに脂肪注入する際、私に関しては、VASER(ベイザー)などの超音波装置は使用していません。
脂肪細胞を破壊しないよう、チュームセント液(血管収縮剤やph緩衝液が入った特殊な麻酔液)を用いたウェットメソッドで、ていねいに、手作業で脂肪吸引するようにしています。

3.エンドプロテーゼ・エンドプラストに対する見解

エンドプロテーゼ・エンドプラストは、数年前に登場したジェル状の新しい注入材です。
他院では、主に鼻を高くしたり、あごを出したり、バストを大きくするのに使われています。
使い方は、局所麻酔の注射をしたうえで、やや太めの注射針で皮下に注入し、指で押さえて形を作ります。
注入後、指で押さえることによって、エンドプロテーゼ・エンドプラストが寒天のように固まります。
固まったエンドプロテーゼ・エンドプラストは、吸収されることはなく永久的にその部位に残ります。

3-1.注射で簡単に注入できるが取り除くには手術が必要

固まったエンドプロテーゼ・エンドプラストは、ヒアルロン酸のように吸収されません。
取りたくなったら、ほぼ100%取り除くことができます。
ただし、取り除く場合は注入するときのように簡単に済むわけではなく、手術で取り除くことになります。
局所麻酔注射を行ったうえで、エンドプロテーゼ・エンドプラストを注入した部位の近くを切開します。
固まったエンドプロテーゼ・エンドプラストの周りに張りついている被膜をはさみではがし、鉗子を使って引き出し、取り除きます。
メスを使う手術になるので、当然のことながら出血はしますし、術後の腫れ、痛みもあります。
バストから取り除く場合は、乳輪の辺縁や乳房下溝を切開するため、傷も残ります。
「エンドプロテーゼ・エンドプラストは、ヒアルロン酸のように気楽に注入できて、効果が永久に持続し、取りたくなったら簡単に取り除くことができる」とアピールされていますが、取り除くには切開する手術が必要で、気楽に注入できるものではありません。

3-2.きれいに仕上がらないリスクが高い

エンドプロテーゼ・エンドプラストは、ほかの治療に比べて、仕上がりがあまりきれいにならないことが多いです。
エンドプロテーゼ・エンドプラストはもともと柔らかいジェル状の液体で、固まっても寒天のようにブヨブヨしています。
ブヨブヨとした固体が皮下に入るため、バストに注入すると、バストの中にたくさんのシコリを触れるようになり、触り心地が非常に悪くなってしまうことが多いのです。
このため、当クリニックでは他院で入れたエンドプロテーゼ・エンドプラストを除去する手術を行うことはありますが、エンドプロテーゼ・エンドプラストを注入することはしていません。

4.アクアフィリングやアクアリフトに対する見解

エンドプロテーゼ・エンドプラストと同様、新しい注入材として主に豊胸に用いられているアクアフィリング、アクアリフトは、「ヒアルロン酸注射と同じような感覚で治療を受けることができるうえ、持続期間はヒアルロン酸より長くて3〜5年程度」といわれています。
しかし、当クリニックがアクアフィリングやアクアリフトを導入する予定は、今のところありません。
話だけ聞くと、非常に魅力的に感じる注入材ですが、最も肝心な安全性が確立されていないからです。
アクアフィリング、アクアリフトが危険と考えられる最大の理由は、原料であるアクリルアミドに毒性があり、重合(架橋)しきれていないモノマーが残留している可能性があることです。
メーカーのデータでは、残留アクリルアミドモノマーは0.4ppmとされており、残留アクリルアミドが発がん性物質に分類されるという見解もあります。
また、ヒアルロン酸と違って、アクアフィリング、アクアリフトはもともと体の中にある成分ではありません。
全てが3〜5年で吸収されるわけではなくて、ある程度は永久的に残存する可能性も否定できません。
アクアフィリングは98%が水分、2%がポリアミドで構成されており、線状ポリマー同士が水素結合により立体構造をとっているそうです。
メーカーは水分子で水素結合が壊れ、線状ポリマーに分解され、分解された線状ポリマーは白血球に貪食されて、尿中に排泄されると説明しています。
しかし、本来は体の中にない異物を大量に注入した場合、本当に全ての注入物が排泄されるかどうかはわかりません。
このことを確かめるには、実際にアクアフィリングやアクアリフトを注入した人を、10年以上経過観察するしかないでしょう。

5.まとめ

新しく開発された技術も、すべてが優秀なわけではありません。
治療の安全性を裏づけるのは試験管レベルの研究ではなく、臨床経験です。
ネット上には新しい治療のメリットをアピールする言葉ばかりが並んでいます。
臨床経験に乏しい治療には、予測のつかないリスクを抱えている可能性があることを理解し、メリットとデメリットを冷静に見極める目を養うことが大切です。